速く答えてほしいけれど、即答は。

2020年10月20日発行 第101号(2020年11月号)

コア英語教室の授業形態は少人数グループの中での個別対応なので、個々を時間的に平等に見ようとすれば、講師側は予定をしっかり組み、生徒側は自分の持ち時間や授業の流れを把握し、先生の振りに素早く反応してくれることが望ましい。

最近の授業の中で、少し気になることがある。子どもの「即答」だ。

素早く反応してくれることを望みながら、「即答」が気になるというのも変な話だが、間違いを指摘された際の条件反射的な切りかえしに、メリットは少ないように思える。

例えば、

”あなたのお母さんは働いていますか?”という英作で、”Is your mother work?”と書いた子どもに対して、正解へと導くべく、

「問題文の動詞は?」とたずねた瞬間、「あー!”Is your mother works?”」

といったように、瞬間的に頭に浮かんだルールのみを当てはめて即答。”動詞は?”という言葉だけに反応し、動詞のルール→三単現のsが思い浮かんだに違いない。そして、根本的な間違いを見つめることなく、workにsをつけてしまった。

この作文は複数の間違いを含んでいる。

「問題文の動詞は?」の問いかけのあとに、「主語は何人称か?」「疑問文の作り方は?」と段階を踏み正解に導くつもりであったが、即答のおかげで事がさらにややこしく、複雑になってしまった。即答する子どもは、二度、三度と即答を繰り返すので、なかなか正解に至らない。速答どころか、持ち時間に一問も正解へたどり着けないということも多い。

問いに対して、即答、条件反射的に訂正する。「じっくり見直して、再度考える」という作業が抜け落ちているので十中八九、不正解の再解答となる。

「じっくり見直して、考える」という作業は、「どこがどう違ったのだろう?」という自分への見えない問いかけから生まれる能動的な作業である。この作業ができると、間違ったことはどんどん克服され、学習速度があがり、勉強が楽しいと思えるようになるのではないか。

正解が大事なのではなく、正解へ辿り着く過程が大事なのだ。

「即答」はかなり根深い問題なので、こちらも根気よく取りくまなくてはならない。「えー、めんどうくさっ!」と生徒に言われても、一つずつ丁寧に取り組んでいきたい。